離婚を円滑に進めるには、しっかりした準備が必要です。
夫婦だけで離婚の話し合いがまとまるなら、特別な準備は不要かもしれません。
しかし、協議離婚が不成立になった場合には、法律で決められた離婚事由が必要となります。
ここでは裁判所が認める法的な離婚理由(法定離婚事由)について一つ一つ説明します。
離婚事由1「不貞行為」
不貞行為とは、配偶者がいるにもかかわらず、本人の自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的関係を結ぶ事をいいます。
この行為が立証された場合、法的に離婚が認められます。
不貞行為が離婚事由と認められるには、いくつかの条件があります。
妻が浮気をしていた時、すでに夫婦関係は破綻状態にあったり、夫婦が別居をしていたという状況での浮気や不倫は不貞行為とは認められません。
さらに裁判では配偶者に不貞行為があった、という確固たる証拠が必要となります。
証拠が妻と異性との間でメールのやり取りがあった、食事をしたレシートを見つけた、一緒に公園で会話をしているところを目撃したなどのレベルでは、不貞行為とはみなされません。
例えばホテルに二人で一緒に入っていく現場を写真や動画、性的関係を結んだと分かるような録音テープなど、同じ人と複数にわたって性的関係があったと分かる証拠が必要です。
妻の浮気を理由に離婚するつもりならば、確実な証拠を集める事がポイントになります。
離婚事由2「悪意の遺棄」
悪意の遺棄とは、配偶者が正当な理由もないのに同居を拒む、生活費を入れない、生活のサポートをしない、同等の生活保障をしてくれない等といった行為を指します。
具体的にいうと、夫が体調不良で仕事を長期的に休む事になったにも関わらず、妻が夫の面倒を見ようとせずにアパートを借りて生活を始めた、夫婦生活に必要な生活費のすべてを持ち出して夫にお金を渡さないなどの状況が該当します。
ほかにも、妻が夫に何の相談もなく別居生活を始めたなどの場合も、悪意の遺棄として離婚事由になります。
離婚事由3「3年以上の生死不明」
離婚を前提に別居という手段を選択する場合、注意しておきたいのが連絡手段です。
夫が妻と円満に離婚したいがために別居という手段を選んだとしましょう。
その際、妻に連絡先を一切告げなかった場合、「夫に悪意に遺棄があった」とされて妻側に有利な離婚手続きが行なわれる可能性があります。
悪意の遺棄とは、配偶者が生きているのか死んでいるのかをまったく確認できない、もしくは一切の連絡が途絶えてしまっている状況を示します。
その状況が3年以上続けば、妻側に有利な離婚となってしまうのです。
離婚事由4「婚姻を継続しがたい重大な事由」
夫婦生活がすでに破綻していて回復の可能性はまったくないと認められる場合でも、婚姻を継続しがたい重大な事由があると判断されれば離婚する事ができます。
その婚姻を継続しがたい重大な事由として、以下のような例が挙げられます。
- 離婚理由で最も多い夫婦の性格の不一致
- 配偶者が仕事をせず、家事や育児にも怠惰である
- 親族と仲良くしようと努力しない、不和である
- 配偶者に対する暴力や虐待がある
- セックスレスや異常な性癖がある
- アルコールや薬物依存である
- 宗教にのめり込むなどの行為がある
ほかにも、配偶者が何らかの犯罪で服役した事により家族の生活が困難になったという場合なども正当な離婚事由として認められます。
夫婦生活の破綻で別居という手段をとってから数十年になるような場合は、離婚がスムーズに認められる事があります。
そのため、最近ではすぐに離婚手続きをとらずに一旦別居という形をとり、その後に正式に離婚するというスタイルをとっている夫婦も少なくありません。
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