離婚後、夫(妻)のどちらかが車を引き取ることになった場合、次に行う必要があるのは自動車の名義変更です。
どちらが車を引き取るにしても、名義の問題をあいまいにすると後々トラブルの原因になるので注意してください。
現在の車の名義人を確認しよう
まず現在の自動車の名義人を確認しましょう。
車の車検証を見ると「所有者(氏名又は名称)という欄があります。そこに記載されている所有者が車の名義人です。
・夫の名義になっている
・妻の名義になっている
・ローン会社や自動車会社の名義である
・夫婦以外の人(両親や兄弟姉妹など)の名義 ほか
上記のいずれであっても、その人(会社)が自動車の名義人(所有者)です。
名義人が誰であれ、名義を変更するには現在の名義人の承諾が必要になります。
名義を誰にすべきか考える際には、現・名義人の承諾が得られるか否かを確認しましょう。
離婚したら車の名義は受け取った方を使用者にすべき!
離婚時の財産分与で、自動車を夫(または妻)が受け取る場合、名義人は受け取る人と同じにすべきです。
たとえ離婚しても仲の良い元夫婦であっても、将来的に状況がどう変わるかは誰にも分かりません。
名義変更が面倒だからといって「そのままでいいか」と変えないでおくと、状況の変化でトラブルが起こる可能性があるので注意しましょう。
「名義」とは法律上の持ち主の事で、「名義人」といえば法的な所有者を指します。自動車の場合は「名義人=車の法律上の所有者」と解釈されます。
自動車の車検証を見てみると、「所有者○○○○」と氏名や会社名が記載されているはずです。この所有者が車の名義人です。
ちなみに車のローンが返済中の期間は、所有者名が車の権利を持っているローン会社や自動車会社などの名前になり、「使用者」は現在車を使用している人の名前になります。
自動車の名義人と実際の使用者が違うとどうなる?
例えば、車を妻が引き取るが、名義は夫のままというケースで何が起こるか考えてみます。
自動車の名義人が夫の場合、法律上の車の所有者(持ち主)は夫になります。車の所有者は自動車税を支払う義務がある為、自動車税の請求書は夫のところに届きます。
ですが、夫は事実上の自動車の所有者ではないので支払う義務があるとは感じません。そこで請求書を妻に郵送するか、直接妻に手渡すという事になるでしょう。
毎年届く請求書を離婚した妻に郵送したり手渡しするのは少し面倒ですよね。このような場合、夫が面倒だからといって自動車税の請求書を放置したらどうなるでしょう?
納税の期限が過ぎると名義人である夫の元に督促状が届きます。それも放置していると延滞料が発生しますが、さらに放置していると預貯金の差し押さえや車の強制廃車といった措置が取られてしまうのです。
こうなってしまうと、ある日車が使えなくなり、実際の使用者である妻が困ってしまうという事になります。もしくは、妻に送った請求書を妻が支払いせずに放置した場合も同様になります。
また、夫側でも税金を滞納したという事実が発生し、不都合が出てくる事でしょう。
自動車の名義の変更方法と手続き
自動車の名義変更は地域を管轄する運輸支局で手続きをします。
以下に名義変更の方法と手続き、費用、日数などを紹介します。
自動車の名義変更に必要な書類と準備するもの
- 印鑑証明…新旧の所有者のもの(発行日から3カ月以内)
- 実印…新所有者の実印(印鑑証明のもの)
- 車庫証明…新所有者のもの(発行日から1カ月以内)
- 譲渡証明書…旧所有者の実印入り
- 委任状…旧所有者のもの
- 車検証…自動車検査証(有効期間内のもの)
- 自動車納税証明書…納税の証明書類
- 自動車税、自動車取得税申告書…自動車税事務所でもらう
- 自賠責保険証明書…自賠責保険の加入を証明する書類
- 申請書…自動車の名義変更を申請する書類(陸運局)
- 手数料納付書…名義変更の手数料を納付する書類(陸運局)
- 自動車リサイクル券…自動車購入時に支払ったもの
(※名義変更を第三者に代行してもらう場合は別途書類が必要になります。)
自動車の名義変更手続きの流れ
(1) 必要書類を準備してそろえる
上記の「必要書類と準備するもの」で挙げた書類や印鑑を準備して手元にそろえます。
自治体の役所や陸運局などに行かなくては準備できないものもありますので、日にちに余裕をもって準備するようにしてください。
離婚後に名義変更する場合は、委任状や譲渡証明書などを自動車の旧所有者である夫(または妻)から前もって受け取っておくようにしましょう。
(2) 管轄の陸運局で手続きを行なう
自動車の名義変更をするには管轄の運輸局に出向く必要があります。
手続きをする場所は、自動車の新しい所有者の住所(使用本拠地)を管轄する運輸支局(通称・陸運局、陸運支局)です。
運輸支局で申請書に必要事項を記入し受付窓口に提出します。
係員が申請書の内容や必要書類を確認し、問題がなければ新しい車検証が交付されて名義変更の手続きは完了です。
名義変更で注意する点
自動車の名義変更はみなさんの車の条件によって多少の違いがあります。
自動車(白緑ナンバー)と軽自動車(黄黒ナンバー)、ナンバープレート変更の有無、自動車取得税の支払いの有無などです。
離婚によって他の地域に引っ越す場合、管轄の運輸支局が変わるとナンバープレートの変更が必要になります。
自動車の名義変更に必要な費用
- 自動車登録手数料…印紙代500円
- 車庫証明料…印紙代など2500円
- ナンバープレート料…1500~4500円(ナンバーが変わる場合)
- 自動車取得税…取得価格の3.0~5.0%(取得価格50万円以下は無税)
自動車の名義変更は代行業者に頼むという方法もあります。
業者に依頼した場合、手数料や事務費として1~3万円程度の費用が掛かりますが、手間を省きたい人や時間がない人は業者に任せた方が効率的です。

